背中の広がりや厚みを作る上で定番のトレーニング種目『ワンハンドダンベルローイング』。しかし、実際のジム現場では「どこに効いているか分からない」「腕や肩ばかり疲れてしまう」といったエラー動作に陥っているケースが少なくないのではないだろうか。
本記事では、日本ボディビル選手権王者・相澤隼人選手が実践・指導するワンハンドダンベルローの理論と実践テクニックをわかりやすく解説していく。
目次

【動画】【エラー動作が多い!?】広背筋の筋肥大に有効なワンハンドダンベルロウの教科書
1.なぜワンハンドローは「広背筋」を狙うべきなのか?

相澤隼人公式チャンネルより
背中のトレーニングには広背筋や僧帽筋など様々なターゲットがあるが、相澤選手はワンハンドローイングは広背筋を狙うのに最も適した種目であると定義している。
広背筋の作用に合った軌道:腕が身体の前にある状態から、身体より後ろへと引く動作は、広背筋の広がりや垂れ下がり(アウトライン)を作るのに理想的。
片手で行う構造的理由:大胸筋や僧帽筋のように正中線(体の中心)から左右に伸びる筋肉は、片手で行うと軸が外側にずれて負荷が逃げやすくなる。
一方、広背筋は軸を片側に寄せることで収縮・発火させやすくなるため、片手で行うメリットが最大限に活かされる。
2.理想的なセットアップとスタートポジション
効果的に広背筋へ刺激を与えるためには、動作に入る前の『土台作り』が極めて重要だ。
◎股関節(ヒップヒンジ)でお尻に体重を乗せる

相澤隼人公式チャンネルより
デッドリフトやベントオーバーローと同様に、股関節を折りたたむ『ヒップヒンジ』の姿勢を作る。上半身を無理に床と平行まで倒す必要はなく、お尻でしっかり体重を支えられる傾斜角度で十分。
両足とベンチに置いた手の3点で重心をしっかり支えることで、動作全体の安定感が大幅に高まる。
◎「肩のパッキング(はめ込み)」で負荷をセット

相澤隼人公式チャンネルより
スタートポジション
1.ダンベルを持ち、自然に腕を垂らした状態を作る。
2.引き始める前に、落ちている肩を体幹部へぐっとはめ込み、左右の肩の高さを揃える。
3.広背筋に『テンションがかかった(ロックされた)』感覚を得た位置が、正しいスタートポジション。
4.そこから肘を肋骨の後ろに向かって引くイメージで動作を行う。
3.握り方(グリップ)の正解:サムアラウンド vs サムレス

相澤隼人公式チャンネルより
背中トレでは親指を外す『サムレスグリップ』もよく行われるが、相澤選手は『サムアラウンドグリップ(親指を回してしっかり握る)』を推奨している。
サムレスのデメリット:親指を外すとバーが指先にずれやすく、保持するために前腕へ余計な力が入ったり、握りが不安定になりがち。
サムアラウンドのメリット:自然な力発揮が可能になり、肩を体幹にはめ込む動作(パッキング)もスムーズに行える。
4.出力を最大化する「3ポジション」の動作レンジ
高重量を扱う際や出力を高めたい場合、単に『引き切る・下ろす』の往復ではなく、以下の3段階のポジションを意識することで動作が安定する。
3つのポイントを意識する
1. スタートポジション:肩をはめ込み、広背筋に負荷が乗った位置。
2. ストレッチポジション:スタート位置からわずかに力を緩め、ストレッチを入れる切り返し位置。
3. エンドポジション:肘を肋骨の後ろへ引いた収縮位置。
あえて一瞬のストレッチ(緩み)を挟んでから引き上げることで、反動に頼らず高重量でも力強い出力を発揮できるようになる。
5.ジムでよく見かけるエラー動作(NGパターン3選)
ターゲット部位から負荷が逃げてしまう典型的なエラー動作と、その原因は以下の通り。
① 肩が上がり、腕(前腕)の力で引いてしまう
現象:ダンベルを真上に引っ張り上げようとするあまり、肩が耳に近づき、前腕に角度がついてしまう状態。
原因:背中で引くのではなく「手で物を持とう・引こう」という意識が強すぎること。
② 体幹・骨盤がダンベルと一緒に動いてしまう
現象:ダンベルの動きに合わせて、下半身や体幹まで一緒に前後・上下に動いてしまう状態。
原因:土台の固定ができていないため。本来トレーニングは「安定させた土台に向かって筋肉を引きつける」ことが原則です。
③ 体を過度にひねり(回旋させ)すぎる
現象:高く引こうとする意識から、胸や上半身を大きく開くように開旋させてしまう状態。
原因:骨盤・股関節周りの固定が外れ、広背筋の収縮ではなく体の回旋運動に逃げてしまっているため。
6.ワンハンドローのメリットと「左右差」への考え方

相澤隼人公式チャンネルより
両手種目(ラットプルダウンやベントローなど)に比べ、片手で行うワンハンドローは支点・軸を外側にずらせるため、広背筋をダイレクトに発火(収縮)させやすいメリットがある。また、左右非対称な動きを通じて体の協調性や機能を高める効果も期待できる。
◎左右差を埋めるためのアプローチ
筋発達の左右差を改善したい場合、ワンハンドローだけに頼るのではなく、「まずは両手で引く種目で左右均等に負荷をかける感覚を養い、コンディショニング等で体の使い方を整えること」が根本的な解決策になると解説している。
7.まとめ
ワンハンドダンベルローイングで広背筋を効率よく筋肥大させるポイントは以下の3点。
まとめポイント
1.股関節(ヒップヒンジ)でお尻に乗り、3点支持で土台を強固に固める
2.引き始める前に『肩のパッキング』を行い、サムアラウンドでしっかり握る
3.体幹を固定し、肘を肋骨の後ろに引きつける意識を持つ
ぜひ日々の背中トレーニングにぜひ取り入れてみてください!
相澤隼人(あいざわ・はやと)
1999年10月21日生まれ、神奈川県相模原市出身。身長164㎝。俳優、パーソナルトレーナー。JBBF(公益財団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)の審査員としても活動中。2021~2023年日本選手権優勝。
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構成:柳瀬康宏 引用元:相澤隼人公式YouTubeチャンネル『【エラー動作が多い!?】広背筋の筋肥大に有効なワンハンドダンベルロウの教科書』
『月刊ボディビルディング』『IRONMAN』FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格は、NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット、リフォーマー。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動もしており、2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに毎年挑戦している。










