筋トレ フィットネス コンテスト

懸垂500回・トップサイドデッド420kg!? 陸自精鋭部隊・池田晃士が語る「15分あればジャイアントセットでオールアウトできる」極意

盛り上がった大胸筋、ゴツゴツとした背中、深く刻まれた腹筋。第1空挺団に所属する現役自衛官・池田晃士さんの肉体は、まるで金剛力士像のような迫力を放つ。7月19日(日)の『自衛隊プレミアムボディ』ではヘビークラス3連覇を成し遂げた。トップサイドデッドリフト420㎏、懸垂500回など超人的なエピソードを持つ、まさに〝規格外〞トレーニーの池田さんを深掘りした。

取材・文・大会写真:IRONMAN編集部 写真提供:池田晃士 Web構成:中村聡美

全治6カ月の重傷も超回復

━━2026年7月の『自衛隊プレミアムボディ』では、ヘビークラス3連覇を達成されました。まず驚かされるのが、今年1月に大怪我を負っていたという事実です。

池田 パラシュート降下訓練中の事故で肋骨を折り、その骨が肺に刺さりました。ドクターヘリで搬送されて、入院は約1カ月。全治6カ月と診断されました。

━━普通なら、トレーニングへの復帰どころか、日常生活を取り戻すだけでも相当な時間がかかりそうです。

池田 普通は筋肉もパワーも落ちると思うじゃないですか。でも、自分は逆に伸びました。

━━逆に?

池田 今はベルトなしでヘックスバーデッドリフトを240㎏10回、ダンベルショルダープレスは片手50㎏で行っています。100㎏を担いだジャンピングスクワットもやります。いずれも過去一の強度です。

ヘックスバーデッドリフトでは240㎏を10回、それもトレーニングベルトなしで挙げる

━━回復したというより、事故前の自分を追い越している……。

池田 そうですね。大会で結果を出すためというより、任務に必要な身体をつくることが目的です。パワーだけでなく、スピードや心肺機能も必要ですから。大会は、自分がどこまでできているのかを確認する場だと思っています。

驚異のトップサイド420㎏懸垂500回

━━池田さんが所属する第1空挺団は、パラシュートで降下し、最前線で任務に当たる精鋭部隊です。50㎏もの装備を担いで、100㎞の山道を進むこともあるとか。そもそも、なぜその世界を選んだのでしょうか。

池田 トレーニングを始めたのは高校1年生のときです。ラグビー部に入り、無理やり筋トレをさせられたことがきっかけでした。でも、やっていくうちに夢中になって、周囲の高校生よりもいい身体になっていました。

━━始まりは、まさかの「無理やり」だった。

池田 そうです。その後大学を中退し自分を見つめ直していく中、「自衛隊に入れば、さらに限界を越えられそうだ」と考えて入隊しました。実際、キツいことはたくさんありますが、ウエイトトレーニングを続けて重いものを扱えるようになると、訓練にも強くなり、精神力も身に付きます。トレーニング中の数時間は苦しくても、そのおかげで残りの時間が楽になるんです。

━━「筋肉を大きくしたい」ではなく、「もっと強くなりたい」が原動力なんですね。

池田 そうですね。とにかく重いものを扱ってきたら、結果として筋肉が付いていました。

50歳を目前とした今でも腹筋はバキバキ、全身分厚い筋肉に覆われている

━━その象徴が、メディアでも話題となったトップサイドデッドリフト420㎏。

池田 普段使っている器具には420㎏までしかプレートを付けられないので、その重量です。薄いプレートがある環境では、460㎏まで挙げました。

━━凄まじいパワーです。

池田 重量を段階的に上げ、420㎏まで来たら1回を5セット行います。そこから20㎏プレートを1枚ずつ外し、各重量で限界回数まで。300㎏台でも10回ほど挙げます。

━━しかも、セット間の休憩は非常に短い。

池田 1分です。

━━これを1分……(ゴクリ)。さらに背中の日には、懸垂だけで300回近く行うそうですね。

池田 加重懸垂なら300回ほど。自重なら、グリップや動きを変えながら500回ほど行います。自衛隊の施設にある長いロープを、脚を使わずL字姿勢で20往復してから、懸垂を100回行うこともあります。

━━これだけの筋量がありながら、走る、登る、長時間動き続けることもできる点が驚異的です。

池田 正確なフォームで効かせるトレーニングも行いますが、訓練や格闘技を想定し、チーティングを使って身体全体で重さを動かすこともあります。どちらか一方ではなく、いろいろな状況で力を発揮できる身体が理想です。

「15分あれば追い込める」

━━これほどのトレーニングを続けるには、毎日数時間を確保しているのかと思いました。実際には、昼休みや仕事の隙間時間を活用しているそうですね。

池田 胸、肩、背中、脚の4分割で回していますが、演習もありますし、いつも長時間できるわけではありません。1時間あれば1時間で追い込み、15分しかなければ15分で追い込みます。

━━15分で、どのように?

池田 8種目ほどのジャイアントセットを3周します。1時間あれば4種目で25セットくらい。インターバルは基本的に40秒から1分です。

━━短時間だから軽く済ませるのではなく、密度を上げて限界までやり切る。

池田 大事なのは、時間よりもオールアウトできるかどうかです。フォームをなるべく崩さず、狙った部位に効かせながらやり切る。トレーニング耐性を高めていけば、短いインターバルでも回復できる身体になります。

━━任務や演習で、いつもの器具が使えないこともありそうです。

池田 器具がなければ、懸垂やロープ、ゴムを使えばいい。以前は、長期間いつものトレーニングができないと筋肉が落ちるような気がして不安でした。でも、いろいろな引き出しを持つようになってからは、何も怖くなくなりました。「これがなければできない」と決めつけないことが大事です。

横から見てもこの厚み!

━━食事も、一般的なコンテスト選手とは全く異なりますね。大会直前にも家系ラーメンを食べ、スープまで飲み干したとか。

池田 ケンタッキーチキンも食べ時間が15分しかないなら、その15分でやり切る。そうすれば、身体も強さもついてきますました。普段からラーメンは週5回くらい食べます。もちろん全体の栄養バランスや身体の状態は見ますが、クリーンな食事だけに偏ると気持ちが疲れてしまう。たまにはジャンク、つまり“毒”も食べた方がいいと思っています。

━━トレーニングも食事も、「こうでなければいけない」という固定観念がないのですね。

池田 空腹、寝不足、プロテインがない。そういう理由で100点の条件がそろうのを待っていたら、トレーニングのタイミングを逃してしまいます。100点を狙った結果、何もしないゼロになるくらいなら、60点でも70点でもやった方がいい。

━━確かに、100%の環境がそろわないとやらない、という人もいそうです。

池田 筋肉を成長させるには、まずトレーニングでスイッチを押さなければ始まりません。時間がある日は2時間でも3時間でもやる。15分しかないなら、その15分でやり切る。とにかく重いものを持って、とにかく継続する。そうすれば、身体も強さもついてきます。

━━筋肉を見せるために鍛えるのではなく、強さを求め続けた結果として、誰もが振り返る肉体が出来上がったのですね。

池田 私にとってはこれが当たり前のことです。

いけだ・こうし
1977年4月28日生まれの49歳。山口県出身。身長165㎝、体重71㎏(オン)、75㎏(オフ)。陸上自衛隊第1空挺団員。自衛隊プレミアムボディヘビークラス3連覇。自衛隊の精鋭部隊・第1空挺団に所属し、規格外とも言えるトレーニング重量や肉体でメディアでも話題となった

-筋トレ, フィットネス, コンテスト
-,





おすすめトピック



佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手