7月26日(日)、岡山県岡山市の岡山芸術創造劇場ハレノワで開催された『オールジャパン・フィットネス・チャンピオンシップス2026』。ウェルネス163cm超級に出場し2位となった岸野悠佳(きしの・はるか/36)選手は、ステージに登場すると会場がどよめくほどの圧倒的な筋量で存在感を放った。

【写真】岸野悠佳選手の「デカすぎる!」会場がどよめくほどの脚の筋肉
岸野選手はこのウェルネスで連覇中であったが今回の大会で一つ順位を落とす結果となった。
日常生活の活動量を増やした減量
「私は除脂肪できておらず、努力できていないので当然の結果だと思います。自分の才能に自惚れたことは一度もないですし、何事もちゃんと努力した人が報われてほしいと思うので、自分でも納得しています」
昨年から課題としていたのも絞りだった。昨年度末に仕事を退職すると、今シーズンは運動量の多さを基準にアルバイトを選び、5月末ごろから日常生活での活動量(NEAT)を大幅に増加。生活パターンが固まってからは、1日の平均歩数が約3万歩に達していたという。
さらに7月10日に行われたスポルテックカップへ向けては、普段のトレーニングに全身トレーニングや長時間の有酸素運動も追加していた。
「スポルテックカップまではずっと炭水化物量を減らしてカーボディプリートをしていました。運動量のあるアルバイトに普段のトレーニング、それに加えてできるだけ毎日全身トレーニングを入れて、長時間の有酸素運動もしていました」
しかし、徹底的に消費量を増やす調整は、思い描いたステージコンディションにはつながらなかった。
「塩分をカットして水を抜きすぎてしまって、絞れていないのに頬だけガリガリにこけて、筋肉は完全に萎んでいました。ステージに立つ時間も長く、疲労であまり集中できなかったと思います」
筋肉に張りを持たせる戦略──あえて休んで身体を元気に
そこから1カ月足らずで迎えた今回のオールジャパン。大会5日前からは、あえて身体を休ませる方向へと舵を切った。
「有酸素運動を散歩に変えて、ストレッチの時間を増やし、空いた時間には昼寝をして睡眠時間を確保するようにしました。そして前日から炭水化物量を少しだけ増やすカーボアップをしました」
すると、ステージ直前には筋肉がしっかりと張り始めたという。
「張りがかなり良かったので、いつも通りパンプアップを始めたんですけど、思い切って途中でやめて、そのままステージに立ちました」
調整だけでなく、この1年間は持ち前のバルクにも磨きをかけてきた。
脚では種目を大きく変えるのではなく、昨年から継続して付け根部分に効かせることを意識。その結果、「アウトラインには現れない部分ですが、脚の上部に圧倒的な厚みが生まれた」と手応えを語る。
上半身ではトレーナーとともに肩を重点的に強化した。
「種目自体は一般的なものですが、僧帽筋に刺激を入れず、肩に効かせることを重視してきました。僧帽筋が少し落ちて、バックポーズもより女性らしい形になってきたと思います」
会場を沸かせるほどの筋量を持ちながらも、岸野選手が見ているのはさらにその先だ。今シーズンは今大会を最後にオフへ入り、来シーズンへ向けて身体を作り直していく。
「目標は今までと変わらず世界一です!競技とこれまでの人生を集大成した身体、そしてステージにします!」
あえて身体を休ませるという試みを成功させた岸野選手。トレーニングをやりすぎて疲弊しがちな人は参考にしてみよう。
用語解説
非運動性熱産生(NEAT):スポーツや筋トレなどの意図的な運動以外で消費されるエネルギーのこと
ウェルネス:上半身に比べ殿部、大腿部がやや大きいことが評価され、健康的な体格が求められるカテゴリー
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
執筆者:柳瀬康宏
『月刊ボディビルディング』『IRONMAN』FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格は、NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット、リフォーマー。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動もしており、2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに毎年挑戦している。
取材・文:柳瀬康宏 写真:中原義史










