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【セミナー潜入】「重さを上げること」と「効かせること」は別物! メンズフィジーク絶対王者・伊吹主税が自身のジムでの初セミナーで伝えた“成長を加速させる技術”

大阪の豊中市にある『COCO MELON GYM』にて、メンズフィジーク絶対王者である伊吹主税(いぶき・ちから)選手によるスペシャルセミナーが6月7日(日)に開催された。自身のジムで初セミナーとなる今回は、第1部の『肩トレ実技セミナー』と第2部の『ポージングセミナー』の二部構成。各回定員15名が満員となり、参加者は実践を交えながら、伊吹選手の技術と考え方を学んだ。

【写真】第一部、第二部のセミナーの様子

COCO MELON GYM

伊吹選手が代表を務めるCOCO MELON GYM

肩が成長しない原因は、重量ではなく“効かせる割合”にある

第1部で取り上げられたのは、伊吹選手の代名詞ともいえる肩のトレーニングだ。

パーソナルトレーニングなどで多くの人を指導するなか、伊吹選手は「肩が大きくならない」「アウトラインが出ない」と悩む人の多さを感じてきたという。

セミナーの様子

伊吹選手を中心に真剣な眼差しを向ける参加者たち

「トレーニング方法が完全に間違っているというより、動きが本人の身体にしっくりきていなかったり、狙った部位に十分な負荷をかけられていなかったりするケースが多いんです。もう少し効率よく行えば、さらに成長できるのにもったいないと思うことがよくありました」

そこで今回は、ショルダープレスやサイドレイズをはじめとする種目のフォーム、重量設定、身体のポジションなどを実演。単に種目を紹介するのではなく、狙った筋肉から負荷が抜ける原因まで細かく解説した。

セミナーの様子

負荷のかかる角度やポイントを細かく説明する。メモをとる参加者も多く見られた。

特に、伊吹選手が多くの人に見直してほしいと話すのがサイドレイズだ。

「ほとんどの人が何かしらもったいない動きをしている印象があります。三角筋に入らないから、さらに重い重量を持ってしまう。実際には効いていないのに、自分では効いているつもりになっている人も少なくありません」

大切なのは、使用重量そのものではなく、その負荷をどれだけ狙った部位で受けられているか。伊吹選手はショルダープレスを例に、その考え方を説明した。

「仮に40kgを扱えていても、そのうち4割を胸の上部など別の部位で押していたら、肩にかかっているのは実質6割です。それなら30kgに落として、できるだけ100%に近い割合で肩へ入れたほうがいい。上がる重量と、肩を成長させられる重量は別だと思います」

セミナーの様子

100%に近い割合で対象筋に効かせる方法を実践を交えて説明する。

セミナーで伊吹選手がこだわったのは、正しいフォームを見せるだけでなく、ありがちなNGフォームも併せて伝えることだった。

「良い例と悪い例を両方見せるのが、一番分かりやすいと思っています。悪い例を実演すると、うなずいている人が多かったんです。『自分もこれをやっていた』と気づいてもらえたのだと思います」

フォームの問題は、自分では正しく動かしているつもりでも、実際の動きとの間にズレが生じやすい。

例えば、肩を下げているつもりでも、動作中にすくみ上がっていることがある。本人に指摘しても、初めは「上がっていましたか?」と気づかないことも少なくないという。

セミナーでは参加者にも実際に種目を行ってもらい、伊吹選手が姿勢や軌道をその場で修正。肩に負荷が乗った瞬間、「今までと全然違う」「すごく肩に入る」といった反応が上がった。

「NGフォームに気づけていない人は多いです。ただ、少し修正することで『今までもっと効かせられたんだ』と分かる。その割合を少しずつ高めていけば、同じ1年間トレーニングしたとしても、成長には大きな差が生まれると思います」

重いものを持ち上げたという満足感ではなく、狙った筋肉にどれだけ負荷を届けられたか。その小さな精度の積み重ねが、身体の変化を左右する。

規定ポーズからプレアクション、ウォークまで指導

第2部では、コンテストシーズンに合わせてメンズフィジークのポージングセミナーが行われた。

内容は規定ポーズだけでなく、選手をより魅力的に見せる角度、プレアクションの意味と活用法、ステージ上でのウォークまで多岐にわたった。

「シーズン中ということもあり、今の自分が大会を目指す方々に伝えられるものを考えた結果、ポージングを選びました。規定ポーズでは何が評価されるのか、なぜその動作を行うのかまで知ってもらいたかったんです」

伊吹選手は競技者としての視点だけでなく、審査員からどのように見えるかという視点も交えながら指導。参加者同士でも動きを確認し、研究しながらポージングを繰り返した。

セミナーの様子

伊吹選手自ら衣装に着替えて本番さながら規定ポーズを披露した

普段から練習しているポーズであっても、わずかな身体の向きや重心、腕の位置によって見え方は変わる。トレーニングと同様に、ポージングも自分では気づきにくい癖を客観的に修正することが重要だ。

初開催は二部とも満員「さらに分かりやすく伝えたい」

初めてのセミナーを終えた伊吹選手は、参加者から多くの質問が寄せられたことに手応えを感じる一方、早くも改善点を振り返っていた。

「もっとこう伝えればよかったと思う部分はたくさんあります。ただ、皆さんが真剣に聞いてくださって、実践したときに変化を感じてもらえたのはうれしかったです」

また、参加者は「肩でフィジークといえば伊吹さんだから参加しました」という声や「前鋸筋を締めたり、お尻を締めたりと、普段と違う意識が入ったことで、今まで自分が正しく動かせてなかったことが分かりました!疲労感もすごくあります」といった声もあった。

セミナーの様子

コンテストに向けてポージング練習をする参加者

伊吹選手は今後もセミナーを継続していきたい考えだ。時期や需要に応じて、減量など別のテーマも候補に挙がっているという。

一度のトレーニングで劇的に身体が変わるわけではない。しかし、狙った筋肉に負荷をかける精度が上がれば、同じ時間でも得られる成果は変わってくる。

伊吹選手が伝えたのは、特別な種目や驚くような高重量ではなく、自分の動きを正しく理解し、日々のトレーニングの質を高めること。その積み重ねこそが、理想の身体とステージ上での輝きにつながっていく。

次ページ:第一部、第二部のセミナーの様子

執筆者:柳瀬康宏
『月刊ボディビルディング』『IRONMAN』FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格は、NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット、リフォーマー。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動もしており、2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに毎年挑戦している。
取材・文:柳瀬康宏

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