7月26日(日)、岡山県・岡山芸術創造劇場ハレノワで開催された『JBBF第18回日本クラシックボディビル選手権大会』。175cm以下級、さらにオーバーオールを制したのは、昨年のチャンピオンである井上貴文(いのうえ・たかふみ/35)選手だった。
「昨年優勝しているので、今年はギリギリ勝つだけでは意味がないと思っていました。会場に来てくださった方が『今日は誰が見ても井上君だよね』と思えるような身体で勝たないと、期待してくれた人たちにも失礼だと思っていたんです」
そのために目指したのは、昨年を超える身体。
「課題に感じていたハムストリングスの強化も取り組みましたが、どちらかというと、良いところをさらに伸ばしました。部位で言うと強みである腕と背中をしっかりと見せることができたのかなと思います。結果的に自分の中で一番良い身体を持っていくことできました」

ライバルの存在が競技力を引き上げた
今大会で最も意識した選手として名前を挙げたのは、同階級で2位となった小澤亮平選手だ。
「やっぱり一番意識したのは小澤君です。彼がいたから自分にも火がついたと感じてます。ボディビルは個人競技ですが、そういう存在がいることで、一定以上のレベルで競い合えるし、競技力もすごく向上するんだと感じました」
ライバルの存在が自身をさらに高いレベルへ押し上げてくれたと語る。
フリーポーズについて尋ねると、選曲や演出にも自身の思いを込めていたという。
「選んだ曲は『TOOL』というアメリカ出身のバンドの『The Grudge』という曲です。フリーポーズを選ぶときは、自分が好きというのももちろんあるんですけど、歌詞の内容や曲のテーマもフリーポーズを選ぶときの基準としてあります」
Grudgeは日本語で『恨み』を意味する言葉だが、曲の大枠のメッセージは『恨みに囚われるな。そのようなものは手放せ』というものだ。
「福岡でトレーナーをしてますが、ありがたいことに最近はテレビに出演させていただいたりと、いろいろなことにチャレンジしています。そうした中で上手くいかないことも当然あって、自分の弱さ、小さな声に耳を貸してしまうことがあるんです。なので今回のフリーポーズは、外に向けた感情ではなく、自分自身の弱さに向けた表現でした」
ステージ上で見せた美しく、力強く、しかしどこか怒りを感じるポージングは、自身の内面との戦いを映し出したものだった。
「今年は日本クラス別、日本選手権、アジア選手権、そして世界選手権のすべてで、盛り上げることが目標です。勝てるところは全部勝ちに行きます」
昨年以上の完成度を求め、自身の限界に挑み続ける井上選手。その鋭い眼光はすでに世界へと向けられている。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
執筆者:柳瀬康宏
『月刊ボディビルディング』『IRONMAN』FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格は、NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット、リフォーマー。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動もしており、2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに毎年挑戦している。
取材・文:柳瀬康宏 写真:中原義史
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