食べ過ぎてしまう人、食べられない人…悩みに応じた解決策で
“自分史上最高”のバルクアップを叶えよう!
ここまでで、トップ選手2名のバルクアップ中の食事戦略やマッスルゲート選手225みつや・ひろく名のバルクアップの実態を紹介してきた。本特集の最後に、日体大助教の筋肉博士・三矢紘駆氏にバルクアップ中の食事の気になる悩みについて質問した。基本となる基準や指標を学び、理想のバルクアップを叶える助けになれば幸いだ。
取材・文:舟橋位於 大会写真:中原義史 Web構成:中村聡美
消化吸収にとても時間がかかる感覚があるのですが……。
食物繊維や脂質の量を見直してみましょう
消化吸収に時間やエネルギーが使われて、トレーニングの質が下がることもあるでしょう。その場合は、トレーニング前の食事が消化しやすいものになっているか確認する必要があります。食物繊維や脂質は消化に時間がかかるため、こういった成分の少ない食事がおすすめです。糖質についても、白米などの吸収が早いものを選択できるとよいですね。あとは、腸内環境を日頃から意識することも消化吸収を良くするためには大切です。
バルクアップに必要なエネルギー量の決め方を教えてください。
ベースラインから500kcal増が一つの目安です
まずは、ベースラインカロリーを理解しましょう。ベースラインカロリーの概算は「除脂肪体重(kg)×40」で求められます。活動量が多い場合は除脂肪体重に42か43をかけて、逆に少ない場合は38や39をかけるとよいです。ここで求めたベースラインカロリーにプラス500kcalすることがバルクアップの基本です。PFCの比率は2:2:6が理想で、脂質を増やし過ぎないことが大切です。
バルクアップ時に必要なエネルギー量の計算方法
ベースラインカロリー=「除脂肪体重(㎏)×40」+500kcal=あなたに必要なバルクアップ時の摂取エネルギー
(例)体重70kg、体脂肪率15%の場合
除脂肪体重:70kg×0.85=59.5kg
ベースラインカロリー:59.5(kg)×40=2380kcal
必要エネルギー量:2880kcal
1日の中での食事の配分で気を付けることはありますか?
トレーニング前後の食事は特に意識しましょう
トレーニング前後は特にエネルギーを集中させたいタイミングです。トレーニングの2時間前くらいに食事ができるとよいでしょう。トレーニング後にすぐに食事ができないときは、プロテインやデキストリンなどの液状のもので摂取しても構いません。吸収されやすいバナナやペプチドなどを活用するのも良いと思います。液体で栄養補給をしてから、トレーニング終了1時間後を目安に、固形の食事を取ることができるとなおよいです。
理想的なトレーニング前後の栄養摂取タイミング
トレーニングの質が変わる!=バルクアップの質も変わる!
トレーニング2時間前:消化の良い食事を取る食物繊維や脂質の多い食事は避ける
トレーニング直後:吸収の早いサプリメントや果物を取る(プロテイン、デキストリン、バナナ、ペプチドなど)
トレーニング1時間後:PFCバランスの良い固形食
食が細い人必見!
一度にたくさん食べられないため、小分けにしてもよいですか?
消化能力や満腹感を目安に食事回数を決めましょう
まず前提として、1日に必要なエネルギーが摂取できているのであれば、無理に食事回数を増やす必要はありません。1日3食でもよいということですね。ただし、食が細い人の場合は、無理して詰め込むと何時間も満腹感が続いて食べられないことがあります。このようなケースでは、1回の食事量を減らす代わりに食事の回数を増やすことが有効です。食べやすい和菓子やプロテインを活用して栄養補給するのもおすすめできます。
食が細い人必見!
固形の食事が難しい場合は、液体で代用してもよいですか?
大丈夫です。無理せず続けられる方法を選びましょう
食が細い人の場合、無理して固形の食事にこだわると限界が来てしまいます。大切なのは、頑張らなくても続けられるやり方を選択することです。まずは絶対的なエネルギー量を確保することが優先されるので、プロテインやウエイトゲイナーを活用してももちろん構いません。このように液体からの栄養摂取を考える場合は、含まれるビタミン・ミネラル・タンパク質などの量に気を配って商品を選ぶことができるとさらによいですね。
食が細い人必見!
食が細い人は、食べられるようにするための努力が必要ですか?
本当に食事を増やす必要があるかどうかから考えましょう
まずは、本当に食事を増やして体重を増やすやり方が自分に合っているかを考えます。ボディビル競技ならば、純粋な筋肉量以外の部分である、細部のつくり込みや除脂肪でも戦えます。なので、必ずしも無理して体重を増やすことだけが正解というわけではありません。例外として、20代前半などの若い頃ならば、努力して食べ込むことで、食事が得意になる可能性はあります。それができそうならやってみてもよいでしょう。
食が細い人必見!
お菓子や油物でエネルギー(カロリー)を稼ぐのはアリですか?
食欲増進としてはアリですが、できれば避けたい最終手段
バルクアップの食事においては、まず最初に自分に必要なエネルギーの総量を計算します。そして、それに基づいて食品を決めていくのですが、高脂質にならないようにメニューを組むのが基本です。お菓子や油物は、やはり体脂肪の蓄積が懸念されるので、どうしても食べられないときにだけ頼りましょう。また、すでにお菓子や油物で体重が増えてしまったという方は、一旦体脂肪を減らすフェイズを取り入れてみるのもおすすめです。
食べ過ぎてしまう人必見!
バルクアップ中の体重は、1カ月にどの程度増やすのが目安ですか?
トレーニング歴に対応した増量ペースを設定しましょう
初心者の場合は筋肉量が増えやすいので、月あたり体重の1.5%程度の増量を目安にすると良いです。しかし、上級者は初心者より大幅な筋量アップは難しくなるため、月あたり体重の1%以下を限度に増量しましょう。上記の数値を大幅に越えるほど無駄な体脂肪が付きやすくなります。
意外と緩やか!無駄な脂肪をつけずに体重を増やす理想的なペース
○初心者の場合:体重の1.5%(㎏)/月
(例)
体重70kgの場合:1.05㎏/月→半年間の増量で+6.3㎏目安
体重80kgの場合:1.2㎏/月→半年間の増量で+7.2㎏目安
○上級者の場合:体重の1.0%(㎏)/月
(例)
体重70㎏の場合:0.7㎏/月→半年間の増量で+4.2㎏目安
体重80㎏の場合:0.8㎏/月→半年間の増量で+4.8㎏目安
食べ過ぎてしまう人必見!
食べ過ぎを防ぐためにおすすめの方法や食材を教えてください。
食物繊維を意識するのがポイントです
食事をする際は、最初に食物繊維が多く含まれる料理から食べ始めましょう。サラダなどがその例ですね。たくさん噛まないといけないため、自然と満腹中枢を刺激することにつながります。逆に、ご飯やおかずなどの簡単に食べられるものだと、気づかないうちにどんどん食べてしまいがちです。食物繊維によって血糖値の上昇を緩やかにするという観点からも、食事の最初は野菜類から食べるというのが一つのポイントと言えるでしょう。
食物繊維を多く含む食材
納豆、ごぼう、ブロッコリー、オートミール、さつまいもなど
→トレーニング前の摂取は控えつつ、食べ過ぎてしまうタイプの人は、満腹感を得やすいため寝る前の最後の食事などで積極的に活用すべし
食べ過ぎてしまう人必見!
大会直後に食べ過ぎて一気に体重が増えることを防ぎたいです。
クリーンな食事のノルマを決めてみましょう
大会が終わってすぐの体重増加は、水やグリコーゲンによるものがほとんどなので、それほど心配しなくてよいです。問題は、コンテストが終わって日数が経つのにドカ食いが止まらないケースです。このような場合は、まずはクリーンな食事で1日のノルマを決めると良いです。クリーンな食事を食べ終わって、そこでさらに余裕があればお菓子等を食べるという決まりにすると、意外と食べたい衝動を抑えられるはずです。
食べ過ぎてしまう人必見!
食事から十分な栄養が取れていてもプロテイン等は必要ですか?
基本的には不要と考えてよいです
1日の食事で、必要なエネルギー、三大栄養素、その他微量栄養素が十分に摂取できていれば、あえてサプリメントをプラスする必要はないです。サプリメントでの栄養補給が役立つのは、トレーニング前後で食事ができないときです。それ以外だと、トレーニング中のエネルギー補給でサプリメントを使うのも有効です。トレーニングが長時間になり、集中力の低下やエネルギーの枯渇を感じるならば、アミノ酸などを試してみましょう。
みつや・ひろく
1995年生まれ。日本体育大学助教(RF)/Ph.D。日体大ボディビル・パワーリフティング部監督。今年3月には著書『「痩せ型」でもあきらめないロジカル筋トレ』を上梓した。ボディビルダーとしても2025年、2026年東京ボディビル選手権5位と活躍を続けている。
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