「運動するなら白米」「ダイエットならオートミール」「さつまいもは太りにくい」など、主食についてさまざまなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
白米・オートミール・さつまいも・うどんは、いずれも炭水化物を補給できる食品です。
一方で、エネルギー量や食物繊維、鉄、カリウム、マグネシウム、ビタミン類などの含有量には違いがあります。また、同じ炭水化物を含む食品でも、消化・吸収のされやすさによって血糖値の上がり方が異なり、その目安となるのがGI値です。
今回は、白米・オートミール・さつまいも・うどんの栄養面の違いを比較しながら、トレーニングをしている人が目的や運動するタイミングに合わせて主食を選ぶポイントを管理栄養士が解説します。

そもそも白米・オートミール・さつまいも・うどんは何が共通しているの?
白米・オートミール・さつまいも・うどんに共通しているのは、主に炭水化物を補給できる食品であることです。
炭水化物は、身体を動かすための重要なエネルギー源です。特に運動中は筋肉がエネルギーとして利用するため、トレーニングをする人にとって欠かせない栄養素です。
また、運動前後に十分な炭水化物を取ることは、トレーニングに必要なエネルギーを確保したり、運動後に消費した筋グリコーゲンを回復させたりするうえでも重要です。
ただし、同じ炭水化物を含む食品でも、食物繊維の量や加工状態、調理方法などによって、血糖値の上がり方には違いがあります。
そこで参考になるのが「GI値」です。
栄養成分で比較
まずは、白米・オートミール・さつまいも・うどんを比較してみましょう。
今回は、白米は「水稲めし・精白米・うるち米」、オートミールは「えん麦・オートミール」、さつまいもは「塊根・皮なし・蒸し」、うどんは「ゆで」を比較しています。
いずれも日本食品標準成分表(八訂)増補2023年をもとにした100g当たりの数値です。1食分は、白米150g、オートミール30g、さつまいも150g、うどん200gとして算出しています。
| 白米 | 白米 | オートミール | オートミール | さつまいも | さつまいも | うどん | うどん | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 分量 | 100g | 1食150g | 100g | 1食30g | 100g | 1食150g | 100g | 1食200g |
| 原料 | 米 | ― | えん麦 | ― | さつまいも | ― | 小麦 | ― |
| エネルギー(kcal) | 156 | 234 | 350 | 105 | 131 | 197 | 95 | 190 |
| たんぱく質(g) | 2.5 | 3.8 | 13.7 | 4.1 | 1.2 | 1.8 | 2.6 | 5.2 |
| 脂質(g) | 0.3 | 0.5 | 5.7 | 1.7 | 0.2 | 0.3 | 0.4 | 0.8 |
| 炭水化物(g) | 37.1 | 55.7 | 69.1 | 20.7 | 31.9 | 47.9 | 21.6 | 43.2 |
| 食物繊維(g) | 1.5 | 2.3 | 9.4 | 2.8 | 2.3 | 3.5 | 1.3 | 2.6 |
| 鉄(mg) | 0.1 | 0.2 | 3.9 | 1.2 | 0.6 | 0.9 | 0.2 | 0.4 |
| カリウム(mg) | 29 | 44 | 260 | 78 | 480 | 720 | 9 | 18 |
| マグネシウム(mg) | 7 | 11 | 100 | 30 | 24 | 36 | 6 | 12 |
| カルシウム(mg) | 3 | 5 | 47 | 14 | 36 | 54 | 6 | 12 |
| ビタミンB1(mg) | 0.02 | 0.03 | 0.20 | 0.06 | 0.11 | 0.17 | 0.02 | 0.04 |
| ビタミンB6(mg) | 0.02 | 0.03 | 0.11 | 0.03 | 0.27 | 0.41 | 0.01 | 0.02 |
| ビタミンC(mg) | 0 | 0 | 0 | 0 | 29 | 44 | 0 | 0 |
| GI値 | 高GI | ― | 低GI | ― | 高GI | ― | 中GI | ― |
GI値とは?
GI(グリセミック・インデックス)とは、食品に含まれる炭水化物を食べた後、血糖値がどの程度上昇しやすいかを示す指標です。
GI値は、ブドウ糖を基準として考えます。ブドウ糖を100としたとき、同じ量の炭水化物を含む食品を食べた場合に、どの程度血糖値が上昇するかを数値化したものです。
簡単にいうと、「その食品に含まれる炭水化物が、どのくらい血糖値を上げやすいか」を比較するための目安です。
GI値が高い食品ほど血糖値が比較的速く上昇しやすく、低い食品ほど血糖値の上昇が比較的ゆるやかになります。
GI値は、一般的に以下の3段階に分類されます。
- 低GI:55以下
- 中GI:56~69
- 高GI:70以上
この区分は、シドニー大学のGI研究サービスでも採用されている基準です。
ただし、GI値は食品そのものに固定された数字ではありません。同じ食品でも、品種や加工度、調理方法、食べる温度などによって変化することがあります。
例えば、オートミールでも加工度によってGI値が異なることがあります。また、調理によるでんぷんの状態や、冷却によって生じるレジスタントスターチなどによっても、血糖値への影響は変わります。
そのため、今回の記事では特定のGI値を一つだけ示すのではなく、「低GI」「中GI」「高GI」という3段階の区分を目安として紹介しています。
白米

エネルギーを確保しやすく、運動量が多い人にも使いやすい
白米は、日本人にとって身近な主食の一つです。
白米の大きな特徴は、食事量を調整しやすいことです。
トレーニング量が多く、必要なエネルギーや炭水化物の量が増えた場合でも、ご飯の量を増減することで調整しやすくなります。
一方で、オートミールやさつまいもなどと比較すると、食物繊維や一部のビタミン・ミネラルは多くありません。
そのため、白米だけで栄養バランスを整えるのではなく、肉や魚、大豆製品、野菜、海藻などを組み合わせて食べることが大切です。
GIについては、今回使用するGIデータベースでは高GIに分類されます。
運動前後に炭水化物をしっかり補給したい場合など、エネルギー補給を優先したい場面では使いやすい主食といえるでしょう。
オートミール

食物繊維や鉄を含み、食事量を抑えたいときにも取り入れやすい
今回比較する「えんばく」では、白米と比べて食物繊維や鉄、マグネシウムなどを含むことが特徴です。
また、水分を加えて調理するとかさが増すため、少ない量でも満足感を得やすい食品の一つです。
食事量を抑えながら栄養素を取りたい場合や、普段の主食に変化をつけたい場合にも活用できます。
一方で、オートミールは加工方法によってGIが変化します。
スチールカット、ロールドオーツ、クイックオーツ、インスタントオーツなど、加工度の違いによって血糖値への影響が異なることが報告されています。
今回の記事では、使用するGIデータベースの分類に基づき、オートミールを低GIとして扱います。
ただし、「オートミールならすべて低GI」と考えるのではなく、商品の種類や加工状態によって違いがあることは覚えておきましょう。
さつまいも

食物繊維やカリウム、ビタミンC、ビタミンBなどを含み、甘みを生かして間食にも活用できる
さつまいもは、白米やうどんなどの穀類とは異なり、いも類に分類される食品です。
さつまいもは自然な甘みがあるため、主食としてだけでなく、おやつや間食の代わりとして取り入れやすい食品でもあります。
一方で、白米やうどん、オートミールと比べると、たんぱく質は少なめです。
そのため、身体づくりを目的としてさつまいもを主食にする場合は、肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質源を別に組み合わせる必要があります。
GIについては、今回使用するGIデータベースでは高GIに分類されます。
「さつまいも=低GI」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、GIは品種や調理方法などによって変わるため、すべてのさつまいもが同じGIになるわけではありません。
また、さつまいもは食物繊維を多く含むため、人によっては一度にたくさん食べるとお腹が張ったり、ガスが溜まったりすることがあります。
特に運動直前に食べる場合は、量を調整したり、運動までの時間を空けたりするなど、自分の消化状態に合わせて取り入れるとよいでしょう。
うどん
食べやすく、運動前後にも取り入れやすい
うどんは、小麦粉を主原料とする麺類です。
水分を多く含むため、100g当たりのエネルギー量は白米やオートミールなどと比較して低くなります。
うどんの特徴は、比較的食べやすく、食事量を調整しやすいことです。
トレーニング前に脂質や食物繊維を控えめにして、炭水化物を取りたい場合にも選択肢になります。
特に、運動前に食べる場合は、消化に時間がかかりやすい食品を大量に組み合わせるよりも、うどんのようなシンプルな主食を選ぶことで食事を組み立てやすくなります。
GIについては、今回使用するGIデータベースでは中GIに分類されます。
ただし、うどんも調理方法や食べ方によって血糖値への影響は変わります。
トレーニング・身体づくりの目的別に選ぶ
①運動量が多く、エネルギーをしっかり確保したい
→白米を中心に量を調整
トレーニング量が多い場合は、必要なエネルギーや炭水化物の量も増えます。
そのような場合には、普段食べ慣れていて量を増減しやすい白米を活用すると、食事量を調整しやすくなります。
一方で、白米だけに限定する必要はありません。
オートミール、さつまいも、うどんなども組み合わせながら、その日の運動量や食事量に合わせて主食を選ぶとよいでしょう。
②主食から食物繊維も取りたい
→オートミールやさつまいも
主食から食物繊維を取りたい場合は、オートミールやさつまいもが選択肢になります。
特に普段の食事で野菜や果物、豆類などを十分に取れていない場合には、主食からも食物繊維を補うという考え方ができます。
ただし、トレーニング直前など、消化管への負担を避けたい場面では、食物繊維の量だけで選ぶのではなく、食べるタイミングや量も考慮しましょう。
③減量中に主食を選びたい
→オートミールやさつまいもを選択肢に
減量中は、食事全体のエネルギー量を調整しながら、必要な栄養素を確保することが重要です。
オートミールやさつまいもは、食物繊維を含むため、普段の主食に変化をつけたいときに取り入れやすい食品です。
ただし、減量中だからといって白米やうどんを避ける必要はありません。
④トレーニング前に主食を選びたい
→消化のしやすさと食べる量を重視
トレーニング前は、運動中に胃腸の不快感が出ないよう、自分にとって食べやすい主食を選ぶことが大切です。
白米やうどんなどは、食事をシンプルに組み立てやすく、運動前の炭水化物補給にも利用できます。
一方、食物繊維が多い食品を大量に食べると、お腹が張るなどの不快感につながる人もいます。
さつまいもやオートミールを運動前に食べる場合は、食べる量やタイミングを調整し、自分に合った摂取方法を見つけるとよいでしょう。
まとめ
白米、オートミール、さつまいも、うどんは、いずれも糖質を補給できる主食ですが、含まれる栄養素や食品としての特徴には違いがあります。
白米はエネルギーや糖質を確保しやすく、オートミールは食物繊維や鉄などを補いやすい食品です。
さつまいもは食物繊維やカリウム、ビタミンC、ビタミンBを含み、甘みを生かして間食にも活用できます。
うどんは水分を多く含み、比較的食べやすいため、運動前などの糖質補給にも取り入れやすい食品です。
GI値については、品種や調理方法、加熱時間、食べる温度などによって変化するため、特定の数値だけで判断するのではなく、大まかな傾向として捉えることが大切です。
「どの主食が一番優れているか」ではなく、それぞれの特徴を知り、トレーニング量や目的、食べるタイミングに合わせて使い分ける。
そして、主食だけでなく、主菜や副菜、果物、乳製品などを組み合わせて食事全体で栄養バランスを整えることが、運動する人の身体づくりにつながります。
■参考文献
・文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」文部科学省ホームページ
・文部科学省「食品成分データベース」食品成分データベース
■著者プロフィール
申泰鎮(シン・テジン)
管理栄養士・健康運動指導士。高校時代のボクシング経験をきっかけにスポーツ栄養士を志す。現在はボクシングジムや大学ラグビー部で、増量・減量・コンディショニングに対応した栄養サポートを実施。自身もフィットネスレース「HYROX」に挑戦しており、競技者としてトレーニングや栄養管理を実践している。競技者から一般層までを対象に、食事・サプリメント・体づくりに関する実践的な支援を行う。執筆や講演活動も多数。










