ベストボディ選手 コンテスト

ベストボディ・ジャパン公認講師が7年ぶりのコンテスト復帰で優勝 教える自分も本番ではできなかった、指導を見直す気づき

「練習ではできていたことが、緊張や会場の雰囲気の中で一瞬抜けてしまうことがあります」

そう話すのは、ベストボディ・ジャパン(BBJ)公認講師として、選手にポージングや舞台上での表現を教える岡田尚子(おかだ・なおこ/34)さん。2026年9月27日(日)、高知県立県民文化ホール(オレンジホール)で開催された「ベストボディ・ジャパン2026高知龍馬大会」では、7年ぶりに選手としてステージに立ち、レディースクラスでグランプリ(優勝)を獲得した。指導と審査を経験してきた岡田さんが、再び評価される側に回って実感したのは、本番で力を発揮する難しさだった。

【写真】岡田尚子さんの立体感のあるヒップで魅せるバックポーズ
岡田尚子さん

教える立場から、再び評価される立場へ

「ベストボディ・ジャパン2019日本大会(2019年11月17日、東京・グランドプリンスホテル新高輪)」で女子総合グランプリに輝き、2022年から公認講師として選手を指導。ポージングや身体の使い方に加え、表情、立ち姿、舞台上での心の持ち方まで考えてきた。今回の出場には、選手に伝えていることを自ら実践し、挑戦する姿を見せたいという思いもあった。

しかし、自らステージに上がると、「見られること」「評価されること」への緊張や不安が押し寄せた。終えた直後は修正したい点が数多く浮かび、手応えは薄かったという。

大会の映像を見返すと、ポーズをとる途中で、お腹を引き締めて保つ意識が抜けていたことにも気付いた。普段は選手に伝えていることを、自分も本番で続けられなかった。

緊張の中で、呼吸と目の前の動作に意識を戻す

本番で頼ったのは、ヨガを通じて身につけた、自分の身体と心を観察する習慣だった。周囲の選手や会場の雰囲気にのまれそうになったときは、呼吸に意識を戻す。入場する、立つ、ポーズをとる。その一つひとつを丁寧に積み重ね、目の前の動作に集中した。

それでも、練習でできたことを全て発揮できるわけではない。自ら経験したことで、練習でできるようになることと、緊張した状態でも自然に動作を続けられることの違いを実感した。

「『緊張した状態でもできるところまで身体に落とし込む』ことが大切なのだと実感しました」

「もっと意識して」で終わらせない指導へ

大会準備の過程でも、思うように身体が変わらず、他の選手と比べて不安になる瞬間があった。その葛藤や本番での難しさを経験したことで、選手の気持ちに以前より一歩踏み込んで寄り添えるようになったと感じている。

今後の指導では、「もっとここを意識して」と伝えるだけで終わらせず、なぜ本番ではできなくなるのか、どうすれば緊張していても自然にできるのかを、選手と一緒に考えていきたいという。

「技術だけを教えるのではなく、選手一人ひとりが自信を持ってステージに立てるところまで支えられる講師でありたいと思っています」

■ワンポイント大会用語
ベストボディ部門:男女それぞれの健康美を競う部門。全身の引き締まりや体型のバランスに加え、表情・表現力、ポーズの取り方、歩き方や身のこなし、知性・品格・誠実さも審査される。女子のレディースクラスは、大会開催年の年末時点で30~39歳の選手が対象。
ポージング:身体の形やバランス、美しさを伝えるためにポーズをとること。大会では、決められた姿勢などを通じて身体を見せる。
ベストボディジャパン日本大会:地区予選などで出場資格を得た選手が集い、各部門・クラスの日本一を競う全国大会。2026年の出場権は、地区予選の各部門・各クラス上位2名に与えられる。ただし、東京大会、愛知・名古屋大会、大阪大会、首都圏大会、神奈川・横浜大会の5大会は、各部門・各クラスの上位3名が対象。2025年日本大会の各部門・各クラスのグランプリ(優勝)獲得者にも出場権がある。高知龍馬大会は上位2名が対象となる。2026年は11月22日(日)、東京・両国国技館で開催される。

取材・文:久米大郎 写真:山口夏織

執筆者:久米大郎
数学書の編集者、フィットネスライター。都内の出版社に勤務する傍ら、自らもボディビル競技に取り組む。2024年マッスルゲート埼玉大会ボディビル65kg以下級3位、2025年東京ノービスボディビル選手権大会男子ボディビル55kg以下級2位。筋トレ情報サイト「FITNESS LOVE」では、競技者としての経験と編集者の視点を生かし、選手の挑戦や身体づくりの工夫を伝えている。徳島県徳島市出身、神奈川県大和市在住。

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