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寝る前のお酒は逆効果?管理栄養士が教える睡眠を妨げるNG習慣と改善法

一般競技者からトップアスリートまで、さまざまな選手の“食”をサポートする管理栄養士・健康運動指導士のTejin(テジン)が、「睡眠の質を高める栄養摂取法」について解説します。

「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」と感じていませんか?

「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」

「布団に入ってもなかなか眠れない」

そのような悩みを感じていませんか?

睡眠は、疲労回復や体調管理だけでなく、食欲や体重管理、運動パフォーマンスにも深く関わっています。慢性的な睡眠不足は、肥満や高血圧、糖尿病、心血管疾患などの生活習慣病のリスクとも関連することが報告されています。

ただし、特定の食品だけで睡眠の悩みを解決しようとするのではなく、食事の時間や内容、カフェインやアルコールの取り方など、日々の生活習慣を総合的に整えることが大切です。

今回は、睡眠をサポートする栄養摂取の考え方と、今日から実践できる食事や生活習慣について紹介します。

睡眠の質を高める食事の基本

睡眠の質を高めるためには、特定の栄養素だけに注目するのではなく、まずは食生活全体を整えることが重要です。

朝食を抜かない
食事時間を大きくずらさない
主食・主菜・副菜をそろえる
就寝直前に食べ過ぎない
カフェインやアルコールの取り方を見直す

このような基本的な習慣を意識しましょう。

特に朝食は、1日の活動を始めるためのエネルギー補給だけでなく、朝の光とともに体内時計を整える役割もあります。

睡眠に関わる栄養素と食品

トリプトファン

トリプトファンは、体内でセロトニンを経て、睡眠と覚醒のリズムに関わるメラトニンの材料となる必須アミノ酸です。

肉、魚、卵、大豆製品、牛乳・乳製品など、たんぱく質を含むさまざまな食品から摂取できます。

朝食でトリプトファンを含む食品を取り、日中に明るい光を浴びることは、夜間のメラトニン分泌を整えるうえで役立つ可能性があります。朝食だけに注目するのではなく、規則的な食事と日中に光を浴びる習慣をあわせて意識しましょう。

おすすめの朝食例

・ご飯、納豆、卵、みそ汁

・パン、ヨーグルト、ゆで卵

・バナナ、牛乳、チーズ

・ご飯、焼き魚、みそ汁

睡眠のために特別な食品を用意するのではなく、普段の朝食にたんぱく質を含む食品を一品加えることから始めましょう。

ビタミンB群

ビタミンB6は、トリプトファンからセロトニンが合成される過程で、補酵素として働きます。セロトニンは夜になるとメラトニンの材料となるため、ビタミンB6を含む食品を日頃から不足なく取ることが大切です。

ビタミンB群は、魚、肉、卵、大豆製品、野菜、玄米など、幅広い食品に含まれています。

一方で、菓子や甘い飲料、インスタント食品などに食事が偏ると、エネルギーは取れてもビタミンやミネラルが不足しやすくなります。

特定の食品やサプリメントだけに頼らず、主食・主菜・副菜を組み合わせて食べることが大切です。

マグネシウム

マグネシウムは、神経や筋肉の働き、エネルギー代謝など、体内のさまざまな反応に関わるミネラルです。

マグネシウムの摂取状況と睡眠時間や睡眠の質との関連を示す研究もあり、日頃から不足しないように摂取することが大切です。

海藻、大豆製品、ナッツ、玄米などに多く含まれています。特定の食品やサプリメントに偏らず、普段の食事から継続して取り入れましょう。

おすすめの取り入れ方

・間食を菓子から無塩ナッツに替える

・みそ汁にわかめや豆腐を加える

・白米の一部を雑穀や玄米に替える

・冷ややっこや納豆を一品加える

グリシン

グリシンはアミノ酸の一種で、エビやホタテなどの魚介類にも含まれています。

グリシンには、就寝前に摂取することで身体からの熱の放散を促し、深部体温を下げやすくする働きが報告されています。就寝に向けて深部体温が下がることは、自然な眠りに入るために必要な身体の変化の一つです。

魚介類は、種類や調理法を選べば脂質を抑えやすく、帰宅が遅くなった日の夕食にも取り入れやすい食材です。

ただし、グリシンに関する研究の多くは、食品ではなく一定量のグリシンを摂取したものです。魚介類だけで同様の作用が得られると考えるのではなく、消化に配慮した夕食の主菜として活用しましょう。

おすすめのメニュー

・白身魚の蒸し物

・エビと野菜のスープ

・ホタテときのこのホイル焼き

・白身魚の鍋料理

油を多く使う揚げ物よりも、蒸す・ゆでる・煮るなどの調理法を選ぶことで、就寝前でも胃腸への負担を抑えやすくなります。

発酵食品と腸内環境

腸と脳は、神経やホルモン、免疫などを通じて互いに影響を及ぼしており、この仕組みは「腸-脳相関」と呼ばれています。

腸内細菌が作り出す物質や腸内環境の状態は、ストレス反応や体内時計などを通して、睡眠とも関係する可能性があります。

納豆やみそ、ヨーグルトなどの発酵食品は、日々の食事に取り入れやすく、たんぱく質やビタミン、ミネラルなども補給できます。また、野菜や海藻、きのこ類など食物繊維を含む食品と組み合わせることで、腸内環境を支えるバランスの良い食事につながります。

朝食の納豆やみそ汁、間食のヨーグルトなど、毎日の食事の中で無理なく継続して取り入れてみましょう。

睡眠のために控えたい食べ方・飲み方

アルコール

アルコールを飲むと寝つきが良くなったように感じることがあります。

しかし、睡眠の後半が浅くなったり、夜中に目が覚めたりするなど、睡眠の質を低下させる可能性があります。

さらに、利尿作用によって夜中にトイレに起きやすくなることもあります。

寝つきを良くする目的で飲酒する「寝酒」は避けましょう。飲酒する場合も量を控え、就寝直前まで飲み続けないことが大切です。

カフェイン

カフェインはコーヒーだけでなく、緑茶、紅茶、エナジードリンク、栄養ドリンクなどにも含まれています。

カフェインには覚醒作用があり、摂取する時間や量によっては、寝つきが悪くなったり、睡眠時間が短くなったりする可能性があります。

カフェインへの反応には個人差がありますが、睡眠に悩んでいる人は、まず就寝6時間前以降の摂取を控えてみましょう。

夕方以降は、

麦茶
ルイボスティー
デカフェコーヒー
カフェインレスのお茶

などに替えるのがおすすめです。

就寝前の高脂質・高エネルギー食

 

揚げ物やラーメン、大盛りの丼物などを寝る直前に食べると、胃腸に負担がかかり、胸やけや胃もたれによって睡眠が妨げられる場合があります。

帰宅が遅くなった日は、空腹から一気に食べ過ぎやすいため注意が必要です。

遅い時間の夕食では、脂質を抑え、消化しやすい食品を腹八分目よりも少なめに取ることを意識しましょう。

夕食を抜くこと

帰宅が遅くなったことを理由に、夕食を完全に抜く人もいます。

強い空腹や極端なエネルギー制限は、身体にとってストレスとなり、寝つきや夜間の睡眠を妨げる可能性があります。

また、夕食を抜いた反動で翌朝や翌日に食べ過ぎてしまうこともあります。

帰宅が遅くなり、通常の夕食を食べることが難しい場合は、夕食を2回に分けて食べる分食がおすすめでおにぎりなどの主食を夕方に取り、帰宅後の遅い時間に副菜と主菜を軽く取ることで体内時計が乱れにくく、夜間の睡眠への影響も比較的小さいといわれています。

食事以外で気を付けたい3つの習慣

運動

日中の適度な運動は、寝つきや睡眠の質を整えるうえで役立ちます。

一方で、就寝直前の激しい運動は、体温や心拍数、覚醒度を高め、寝つきに影響する場合があります。

ただし、夜の運動が一律に悪いわけではありません。夜に運動する場合は、終了する時間や運動強度を調整しましょう。

行動目標

週に数回、日中から夕方に20〜30分程度のウォーキングや軽い運動を取り入れましょう。

朝の光は体内時計を整え、夜の自然な眠気につながります。

起床後はカーテンを開け、できるだけ明るい環境で過ごしましょう。

一方で、就寝前のスマートフォンやパソコン、明るい照明は、脳を覚醒させ、寝つきに影響する可能性があります。

行動目標

朝は起きたらカーテンを開け、夜は就寝1時間前からスマートフォンやパソコンの使用時間を減らしましょう。

入浴

入浴によって一度身体が温まり、その後に身体から熱が放散されて深部体温が下がることで、眠りに入りやすい状態になります。

入浴する場合は、就寝の1~2時間前を目安にしましょう。

熱すぎる湯は身体への刺激が強く、かえって覚醒感を高める場合があります。無理なく入れるぬるめのお湯に、10~15分程度つかるのがおすすめです。

今夜から始める「睡眠のための3アクション」

① 朝食にたんぱく質を一品加える

納豆、卵、ヨーグルト、牛乳、魚などを取り入れ、朝はカーテンを開けて光を浴びましょう。

② 午後のカフェインを減らす

夕方以降のコーヒーやエナジードリンクを、麦茶やデカフェ飲料に替えてみましょう。

③遅い夕食は分けて軽めにする

帰宅が遅い日は夕食を抜かず、夕方におにぎりなどの主食を取り、帰宅後は低脂質で消化しやすい主菜や副菜を少量取りましょう。

まとめ

睡眠の質を高めるために、特別な食品やサプリメントだけに頼る必要はありません。

大切なのは、

朝食を取り、日中に光を浴びる
主食・主菜・副菜をそろえる
夕食の時間と量を整える
カフェインやアルコールを摂る時間に注意する
日中の運動、夜の光、入浴習慣を見直す

といった基本的な生活習慣です。

まずは、朝食に卵や納豆を加える、夕方以降のコーヒーを控える、遅い時間の夕食を軽くするなど、できることから一つずつ始めてみましょう。

小さな習慣の積み重ねが、睡眠の質と翌日のコンディションを整える第一歩になります。

■参考文献

・厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

・厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」

著者プロフィール

・文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

Effects of tryptophan-rich breakfast and light exposure during the daytime on melatonin secretion at night - PubMed

The Role of Magnesium in Sleep Health: a Systematic Review of Available Literature - PubMed

■著者プロフィール

申泰鎮(シン・テジン)
管理栄養士・健康運動指導士。高校時代のボクシング経験をきっかけにスポーツ栄養士を志す。現在はボクシングジムや大学ラグビー部で、増量・減量・コンディショニングに対応した栄養サポートを実施。競技者から一般層までを対象に、食事・サプリメント・身体づくりに関する実践的な支援を行う。執筆や講演活動も多数。

web構成:中村聡美

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