「岩瀬先生~~~!!」「先生~!82番ーーー!」
2026年8月1日に開催されたマッスルゲート神戸大会(神戸芸術センター)でメンズフィジーク新人の部168cm以下級が始まった途端、会場のボルテージが上がる。
そして、ゼッケン番号82番の選手が入場してきた途端、観戦席後方から熱い声援が飛んだ。
同部門1位、同じくメンズフィジーク一般の部168cm以下級3位という結果を残した岩瀬圭司(いわせ・けいじ/38)さんの職業はパーソナルトレーナー。声援を送っていたのはクライアントのお客さんたちだ。
しかし、そんな岩瀬さんには、今の引き締まった身体からは想像できない過去がある。
「このままの体型ではダメだ」と一念発起
岩瀬さんは地元・兵庫県西宮市で「FAITH PRIVATE GYM(フェイス・プライベートジム)」を展開し、パーソナルトレーナーとして幅広い年代の身体づくりをサポートしている。会社員からトレーナーへ転身し、自身のジムを開業した。
転職前の岩瀬さんは運動習慣がなく、前職の仕事のストレスから暴飲暴食を繰り返し、身長166cmながら体重が80kgまで増えた経験を持つ。
「そのときは筋肉質な80kgではなくて、全部脂肪でした(笑)」
体型を変えようと決心したのは20代後半。「このままではダメだ」と一念発起し、ダイエットとトレーニングを開始した。
身体づくりは幸せの手段
トレーニングを始めた当時は情報も少なく、独学で学びながらスクワットや腕立て伏せから始めた。身体の変化とともに心も前向きになったという。
「トレーニングは身体だけじゃなく、気持ちも前向きになります。自信もつきますし、ネガティブな部分がなくなっていきました」
「ムキムキになることや、他人と比べてかっこいい身体になることだけがトレーニングの目的ではありません。身体づくりは、人生を幸せにするための有効な手段のひとつだと思っています」
そうした実感から、「この素晴らしさを人に伝えたい」という思いが芽生え、パーソナルトレーナーの道へ進むことを決意した。
初心者9割のパーソナルジム
岩瀬さんのジムには、運動未経験者が数多く通う。
「お客様で多いのは、運動したことがない初心者の方です。9割くらいがそうですね」
「僕自身がフィジーク競技をやっているので、競技者向けのジムと思われることもありますが、実際は全然違います。これから一から身体づくりを始める方を指導することが多いです」
自身が大会へ向けて努力する姿も、クライアントのモチベーションにつながっている。
「僕が一生懸命取り組んでいる姿を見て、『自分も頑張ろうと思います』と言ってくださる方もいます」
自身の人生を変えた経験があるからこそ、身体づくりを単なるダイエットや筋肥大ではなく、「健康的で前向きな人生を送るための手段」として伝えることを大切にしている。
2歳7カ月になる息子の存在
岩瀬さんはエニタイムフィットネスや大手パーソナルジムで経験を積み、約3年前に地元・西宮市で「FAITH PRIVATE GYM」を開業した。現在は西宮今津店と香櫨園店の2店舗を展開し、地域に根ざしたジムづくりを続けている。
「やるなら大阪や神戸の中心街ではなく、自分が好きな地元・西宮の街を良くするジムにしたいと思いました」
現在の自身の身体づくりを続ける一番のモチベーションは、2歳7カ月になる幼い息子の存在だ。
「息子にとって世界一かっこいい父親でありたい。そして何歳になっても、息子や将来の孫と一緒に思い切り身体を動かして遊べる自分でいたいんです」
トレーニングは、人と比べるためではなく、幸せな人生を送るための手段。自身の経験を胸に、岩瀬さんは今日も地元・西宮で一人ひとりの「変わりたい」を支えている。
●「FAITH PRIVATE GYM」のウェブページはこちら:https://faith-gym.com/
用語解説
メンズフィジーク:
広い肩幅、肩の丸み、引き締まった細いウエストに加えスマートなポージング、清潔感のある笑顔などが総合して評価される人気カテゴリー
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
都内の出版社で数学書の編集者として勤務。
ゴールドジムでトレーニングに励み、ボディビル競技に挑戦中。2024年マッスルゲート埼玉大会ボディビル65kg以下級3位、2025年東京ノービスボディビル選手権大会男子ボディビル55kg以下級2位。
競技者としての経験を生かし、筋トレ情報サイト「FITNESS LOVE」でボディメイクに関する取材・執筆を担当。
徳島県徳島市出身、神奈川県大和市在住。
取材・文:久米大郎 写真:岡暁











