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【沖縄産トゲドコロ山芋の秘密】筋肉を増やす注目の新成分「ジオスゲニン」!専門家が明かす筋力UPと筋質改善の科学

滋養強壮効果のある食べ物と聞いて、山芋を思い浮かべる人もいるだろう。今回紹介するジオスゲニンは、山芋の中でも特に珍しいトゲドコロ山芋特有の成分だ。本企画では、ジオスゲニン研究の第一人者である家光先生に、トレーニーとジオスゲニンの相性について深くお聞きした。

取材・文:舟橋位於 写真提供:株式会社沖縄テレビ開発 Web構成:中村聡美

筋肥大効果を高めるジオスゲニン

━━先生、本日はよろしくお願いします。最初に、ジオスゲニンとはどのような成分なのかを簡単にご説明いただけますか。

家光 ジオスゲニンは、沖縄県だけで栽培されている山芋の一種「トゲドコロ山芋(琉球ヤムイモ)」に豊富に含まれる成分です。元気が出る滋養強壮の食品として、にんにくや生姜を思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、実はそれらにはジオスゲニンはほとんど含まれません。それどころか、日本で一般的に食される自然薯(じねんじょ)にもそれほど含まれない成分なんです。

━━そんな貴重な成分と聞くと、特別な効果を期待してしまいます。

家光 ジオスゲニンの最大の特徴は、DHEAという性ホルモンの前駆体と似た化学構造を持つ点です。身体の中では、DHEAを出発点として、男性ホルモンのテストステロンや、女性ホルモンであるエストロゲンが作られます。
ジオスゲニンを実際に動物に摂取させると、性ステロイドホルモンに似た効果を示すことが分かっています。

━━動物実験のお話がありましたが、ヒトを対象とした研究結果も出てきていますか。

家光 我々のチームが、陸上競技選手を被験者として行った実験の結果を紹介したいと思います。
レジスタンストレーニングとジオスゲニン摂取の併用で、ジオスゲニン摂取群では、左腕の筋量とデッドリフトの1RMがプラセボ(疑似薬)摂取群と比較して有意に増加することが示されました(図1)。

図1ジオスゲニン摂取で筋力と筋量が増えることを表す研究結果

━━筋トレにジオスゲニンを加えると、さらに効果が上がるかもしれないということでしょうか。

家光 今回の被験者は、大学競技で活躍している男子短距離選手チームでした。そのため、条件が変われば効果の表れ方も変わる可能性はあります。必ずしも全員に効くわけではないということです。
ただし、性ステロイドホルモンの自然分泌量は、20歳をピークにどんどん下がっていきます(図2)。それを考えると、40代や50代のようなミドルエイジ世代の方が効果を実感しやすいということはあると思います。

図2性ステロイドホルモンの自然分泌量の変化を表す研究結果

ミドルエイジ世代のボディメイクは筋質の改善が鍵

━━ミドルエイジ世代を対象としたジオスゲニンの実験もありますか。

家光 中高齢者を対象として、レジスタンストレーニングとジオスゲニンを併用した際の効果を調べました。対象が中高齢者ですので、バーベルなどを使った高強度のエクササイズではなく、弾性バンドを使ったエクササイズをこのときは採用しています。
実験の結果、やはりレジスタンストレーニングとジオスゲニンを併用したグループで、太ももの前および後ろの筋肉量の有意な増加が見られました。
さらに面白いことに、中高齢者では、筋質の改善効果を示すようなデータも出ています。

━━筋質とはなかなか聞き慣れない言葉ですが、どのような定義か教えていただけますか。

家光 筋肉を構成する代表的な組織は筋線維です。そして、若いうちは筋肉内の大部分を筋線維が占めています。ところが年齢を重ねていくと、筋線維の間に脂肪組織や筋線維以外の線維組織が混ざってくるようになります(図3)。

図3筋質の良し悪しを示す筋断面のイメージ

同じ体積に占める筋線維の割合が落ちることになるので、当然、発揮できる筋力が下がることが考えられます。これが、今回の筋質の定義です。

━━なるほどです。そして、ジオスゲニンはこの筋質も変える可能性があると。

家光 先ほどの中高齢者を対象とした実験の中で筋質についても調べました。そして、レジスタンストレーニングとジオスゲニンを併用したグループでは、筋線維以外の組織が顕著に減少したことが分かりました。

━━筋質を改善できると、身体づくりにはどのような影響があると考えられそうですか。

家光 筋質を良くして純粋な筋線維の割合を増やすことができれば、トレーニングによる筋肥大の恩恵をより受けやすくなることが考えられます。
こういった観点からも、ミドルエイジにはジオスゲニンはおすすめできます。肥満や運動習慣がないことで線維化が進行するとされているので、トレーニングも同時進行で行えるとなお良いと思います。

高強度トレーニングの相棒としてのジオスゲニン

━━それ以外で、ジオスゲニンがボディメイクに有用だと言えるデータはございますか。

家光 先ほど、性ステロイドホルモンのピークは20代で、その後は年齢を重ねるごとに下がっていくというお話をしました。ところが、若くても、強度の高い運動をするアスリートでは、性ステロイドホルモンの不足が起こることが分かっています。
その一例が陸上長距離選手です。ハードな練習をすることに加え、彼らは体脂肪が極端に少ない身体をしています。そうすると、自然と性ステロイドホルモンの供給が間に合わなくなるということです。

━━強度の高い運動と低い体脂肪と聞くと、ボディビルダーの減量がまさにそうではないですか。

家光 それはおっしゃる通りです。大会に向けて身体をつくっていくには、激しいトレーニングと食事制限が必要です。そして、その中でもできるだけ筋肉量は維持したいはずです。そうすると、身体の中で減少してしまった性ステロイドホルモンを補う必要性が出てきます。

━━ジオスゲニンはそこで役立つ可能性があるというわけですね。

家光 全身で性ステロイドホルモンを使いたいが供給が間に合わないという場合には、ジオスゲニンがそのサポート役になりえると思います。

━━そう考えると、他の競技はもちろん、ジオスゲニンはボディメイクとの親和性も高そうですね。

これからのジオスゲニン研究で期待されること

家光 ジオスゲニンが骨格筋の代謝機能を高めることが動物実験で分かっています。これは糖代謝と脂質代謝の両方についてです。ヒトを対象とした実験では、体脂肪が減るデータは得られていないのですが、血糖値の異常や肥満の改善などは、今後研究を進めていく領域だと言えます。

━━減量中に体調を崩したり風邪をひいたりするボディビルダーは多いですが、コンディショニングとしてのジオスゲニンの活用はいかがでしょうか。

家光 同じことは他のアスリートの世界でもよく見られます。免疫機能は運動中において一時的に上がるのですが、運動後は通常レベルよりも下がってしまうことが分かっています。ところが、ジオスゲニンを2週間にわたって摂取してもらったところ、免疫に携わるsIgAという免疫タンパクが増えることが分かりました。もちろん運動後には数値は下がるのですが、それでも通常時のラインは高まっていたので、免疫機能を高める効果があると言えると思います。

━━疲労の軽減効果はありますか。

家光 実は、身体の疲労感とジオスゲニンの関係を示すようなデータはありません。しかし、中高齢者を対象とした実験により、ジオスゲニンを投与すると、ストレスを軽減できる可能性が示されています。結果的にストレスに起因する疲労を感じさせなくする可能性は考えられます。

━━ここまででジオスゲニンの効能をいろいろ教えていただきました。最後に気になるのは、ジオスゲニンの安全性についてです。

家光 ジオスゲニンの摂取により、性ステロイドホルモンの作用が増強されることはすでに述べました。ここでポイントなのは、ジオスゲニンはステロイドホルモンそのものではない点です。そのため、ドーピング検査の観点からも安心です。さらに、ステロイドホルモンではないということは、本来身体が持っているステロイド合成の能力は邪魔しないことも意味します。ジオスゲニンのイメージは、あくまでも身体の中での性ステロイドホルモン合成をブーストする物質です。
性ステロイドホルモン合成が下がりがちなミドルエイジ世代の方や、過酷な減量で身体がダメージを受けているような方には、ぜひジオスゲニンを試してもらいたいですね。

いえみつ・もとゆき
筑波大学大学院医学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、筑波大学大学院助手、国立健康・栄養研究所客員研究員を経て、2010年より立命館大学スポーツ健康科学部准教授に就任。2014年から教授となる。専門分野はスポーツ生理・生化学。

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