トレーニング初心者から脱して中上級者を目指す際に気になるのが「自分用のトレーニングギアを購入すべきか」という点だ。もちろん、トレーニングギアがなくてもトレーニングは可能である。
しかし、上級者の多くがトレーニングギアを愛用しているのを見ると、パフォーマンスアップのために必須のアイテムのようにも思えてくる。本記事では、そんな疑問に答えるべく、米フィットネス誌がまとめたトレーニングギアの役割や活用法について詳しく解説する。
本記事は、海外のフィットネス事情やトレーニング文化に関する情報をもとに構成された翻訳・編集記事です。日本国内の事情や環境とは異なる部分も含まれます。
「何㎏ 立てる?」の時代

アメリカにある某ジムの壁には、以下のようなメッセージが書かれている。
「スクワットは人生そのものだ。大きくて重いものに打ちのめされた後、人は立ち上がり、より高みを目指すのだから」
まさに言い得て妙な言葉である。スクワットは様々な競技アスリートに好影響をもたらし、運動能力を向上させる。そのため、ジムに通い始めたばかりの初心者であっても、特別な理由がない限り、トレーナーからスクワットを行うことを勧められる。
スクワットが支持されている理由は、下半身と体幹部の筋力を同時に強化でき、そして瞬発力の向上にも直結するからだ。実際、パワーリフティング競技の種目の一つでもあり、オリンピック・ウエイトリフティングでも、スクワットの強い選手は良い成績を収めることが多い。
1990年~2000年頃までは、体格が大きい人に対してベンチプレスの挙上重量を尋ねることがあった。身体の大きさと筋力の強さは必ずしも一致しないが、ベンチプレスの挙上重量が強さの象徴と捉えられていたのは確かだ。
しかし、それ以前の1970年代や1980年代、ベンチプレスではなくスクワットの挙上重量が怪力の証とされていた。スクワットで何kg 挙げられるかが、ジムでの注目の的だったのである。
様々なトレーニングギアの登場
ウエイトトレーニングの世界には、トレーニーたちが身につける様々なギアが存在する。ギアを使ってスクワットやベンチプレスを行うと挙上重量を大幅に伸ばすことができるため、筋力や筋量を増やすために重宝されてきた。実際、ギアを使うようになって自己記録が伸びるようになった人もいるだろう。
代表的なギアとしては、トレーニングベルト、リストストラップ、ニーラップ、エルボーラップなどが挙げられる。パワーリフティングの試合ではパワースーツと呼ばれる専用ウェアの着用も当たり前になっている。
スクワット人気が再び高まりだした要因の一つは、トレーニングギアの存在が大きいと考えられる。ギアを使えばより安全に高重量に挑戦できるため、エリートレベルのアスリートが積極的にスクワットに挑むようになったのは自然な流れだ。
一方で、こうした特殊性のあるギアが、筋力アップ以外の目的でも用いられているという懸念もある。
ファンクショナル・トレーニングを行う人がスクワットをする理由は、強い体幹と下半身を作るためであり、高重量を扱うことが目的ではない。
確かにトレーニングベルトを使えば体幹が固定しやすくなり、ニーラップは膝のバネの力をサポートし、ボトムからトップに立ち上がるときの力が得やすい。また、オリンピックシューズはかかとが高くなっているため直立姿勢が維持しやすく、重心を身体の中心に保ちやすい。リストラップも、バーを保持しやすくするためのものであろう。つまり、どのギアもスクワット動作を助けることが主な役割であり、筋機能を向上させる目的とはずれているのだ。

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各ギアの特性と注意点
リストストラップ

リストストラップは、デッドリフトやバーベルロウなど、握力が先に限界を迎えやすい種目で活用される。
もしリストストラップを使うのであれば、手首を痛めないよう注意が必要だ。手首は腱や靱帯が複雑に入り組んだ構造をしており、無理な使い方をすれば簡単に痛めてしまう。
使用時は、小指側にある出っ張った骨(茎状突起にあたる場所)を避け、前腕寄りにストラップの輪を通して巻くようにしよう。
そのうえで、ストラップをバーに巻き付け、バイクのスロットルを回すように手をひねって締め付ける。誤った位置に巻いたまま高重量を扱うと、手首の靱帯、特に舟状靱帯や月状靱帯が過伸展し、関節の不安定性につながる恐れがある。
ニーラップ

スクワットでニーラップを用いると、立ち上がるときの膝のバネの力をサポートすることができるため、より高重量に挑戦することができる。
それ以上に、ニーラップには膝を保護するという目的があるので、パフォーマンスの向上だけでなく怪我の防止を目的としたギアと言っていいだろう(膝の保護という点ではニースリーブも活用できる)。
もちろん、本来は膝周りの筋肉や腱、靱帯をしっかり強化することが先決なので、軽重量の段階からニーラップを当たり前のように使わないようにしたい。
例えば、その日の最高重量に挑戦するときだけに限定してニーラップを使うようにして、スクワットの最初から最後までニーラップを巻いたままにしないよう心がけよう。
目的や状況に応じて活用
ギア推奨
例)パワーリフティング、高重量トレーニング
ノーギアの指定がない大会であれば、事前にギアの使い方を理解し、どのように記録更新に繋げるか確認する必要がある。つまり、この場合は、ギアをトレーニングで用いることは必須ということになる。
ノーギア推奨
例)筋機能の向上、体幹や下半身の強化
ギアを使ったトレーニングに関わると、ギアなしでの動作が困難になり、ギアに依存する状態に陥ることもある。
動作の習得や、筋肉の機能向上を目指すなら、ギアなしで一定の重量を扱えて挙上できる身体を作ることが重要だ。
番外編
身体の状態が普段と違う場合

例えば週末に活動量が多かった場合、腰が張っていることがある。もし翌日にスクワットをする予定でも、正しい姿勢で行える自信がないときは、ギアの使用を検討することを勧める。
このように腰に張りがある場合は、リフティングシューズがおすすめだ。カーフの緊張や股関節の詰まりによって腰に張りが出ているならば、踵を高めにすることでしゃがみ動作をしやすくなる。完全に休むのも一つの手だが、軽強度でも身体を動かしたいならギアをうまく利用しよう。
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