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【筋トレの疑問】牛肉・豚肉・鶏肉の栄養成分を完全比較! 管理栄養士が解説する「トレーニーのための目的別肉選び」

「鉄を取るなら牛肉」「疲れたときは豚肉」「筋肉をつけるなら鶏肉」など、肉によってさまざまなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

牛肉・豚肉・鶏肉はいずれも、身体づくりに欠かせないたんぱく質を含む食品です。

一方で、脂質の量だけでなく、鉄や亜鉛、ビタミンB群など、肉の種類によって多く含まれる栄養素には違いがあります。

トレーニングをしている人にとって、肉はたんぱく質を補給するだけの食品ではありません。エネルギー代謝や赤血球の形成などに関わる栄養素も含まれています。

今回は、牛肉・豚肉・鶏肉の栄養面の違いを比較しながら、トレーニングや身体づくりをする人が目的に合わせて肉を選ぶポイントを管理栄養士が解説します。

そもそも牛肉・豚肉・鶏肉は何が共通している?

牛肉・豚肉・鶏肉に共通する大きな特徴が、良質なたんぱく質を含んでいることです。

たんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されており、そのうち体内で十分に合成できない9種類が必須アミノ酸です。

肉類は必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、アミノ酸スコアは100と評価されています。

つまり、牛肉・豚肉・鶏肉のどれを選んでも、たんぱく質源として利用しやすい食品です。

ただし、肉の種類によって脂質の量や、鉄、亜鉛、ビタミンB群などの含有量には違いがあります。

それぞれの特徴を知り、ローテーションで取り入れることが、さまざまな栄養素を取るうえでも役立ちます。

3種類の肉を栄養成分で比較

まずは、牛肉・豚肉・鶏肉の栄養価を比較してみましょう。

今回は、牛肉は「輸入牛肉・もも・脂身つき・生」、豚肉は「大型種・もも・脂身つき・生」、鶏肉は「若どり・もも・皮つき・生」と「若どり・もも・皮なし・生」を比較しています。

いずれも100g当たりの数値です。

栄養素牛肉豚肉鶏肉・皮つき鶏肉・皮なし
エネルギー(kcal)148171190113
たんぱく質(g)19.620.516.619.0
脂質(g)8.610.214.25.0
炭水化物(g)0.40.200
鉄(mg)2.40.70.60.6
亜鉛(mg)3.82.01.61.8
ビタミンB1(mg)0.080.900.100.12
ビタミンB2(mg)0.190.210.150.19
ビタミンB6(mg)0.440.310.250.31
ビタミンB12(μg)1.50.30.30.3
ナイアシン(mg)5.06.24.85.5
ビタミンA(μg)544016
ビタミンC(mg)1133
ビタミンD(μg)0.20.10.40.2
カルシウム(mg)3455
食物繊維(g)0000

食品成分表を見ると、肉の種類によって特徴的な栄養素が異なることが分かります。

牛肉は鉄や亜鉛、ビタミンB12、豚肉はビタミンB1、鶏肉は皮の有無による脂質量の違いが大きな特徴です。

牛肉

鉄・亜鉛・ビタミンB12、クレアチンなどを含む。

牛肉の特徴としてまず挙げられるのが、鉄や亜鉛を含むことです。

今回の比較では、牛肉の鉄は100g当たり2.4mg、亜鉛は3.8mgで、いずれも4種類の中で最も多く含まれています。

鉄は赤血球のヘモグロビンなどの構成成分として、酸素を全身に運ぶ働きに関わっています。

運動量が多い人は鉄の不足にも注意したいところです。特に女性アスリートや成長期の人、汗をたくさんかく人は、鉄を含む食品を日常的に取ることを意識してみましょう。

また、亜鉛はたんぱく質の合成や細胞の成長・維持など、身体のさまざまな働きに関わるミネラルです。

さらに牛肉にはビタミンB12も含まれており、今回の比較では100g当たり1.5μgと、4種類の中で最も多くなっています。ビタミンB12は赤血球の形成や神経機能などに関わる栄養素です。

また、牛肉にはクレアチンも含まれています。クレアチンは筋肉に存在し、短時間の高強度運動などでエネルギーを供給する際に関わる成分です。クレアチンは牛肉だけに含まれるものではなく、豚肉や鶏肉、魚類などにも含まれています。

豚肉

豚肉の大きな特徴は、ビタミンB1を多く含むことです。

今回の比較では、豚肉のビタミンB1は100g当たり0.90mgで、牛肉や鶏肉よりも多く含まれています。

ビタミンB1は糖質の代謝に関わる栄養素です。

トレーニングをする人は、エネルギー源として糖質を多く取る場面があります。特に運動量が多い場合は、主食などから十分な糖質を取ることも重要です。

その糖質をエネルギーとして利用する過程でビタミンB1が関わるため、豚肉は主食から糖質を多く取る人にも取り入れやすい食品です。

また、豚肉にはたんぱく質や亜鉛、ビタミンB6、ナイアシンなども含まれています。

「糖質を多く取るから豚肉を食べればよい」という単純な話ではありませんが、ご飯などの主食と豚肉を組み合わせることで、糖質とたんぱく質、ビタミンB1を一緒に取ることができます。

鶏肉

脂質を調整しながらたんぱく質を取りやすい。

鶏肉は、部位や皮の有無によって脂質量が大きく異なります。

今回の比較では、若どりのもも肉は皮つきで100g当たりたんぱく質16.6g、脂質14.2g。一方、皮なしではたんぱく質19.0g、脂質5.0gとなっています。

皮を外すだけでも脂質を大きく抑えられるため、たんぱく質を取りながら脂質を調整したい場合に使いやすいのが鶏肉の特徴です。

特に減量中など、ほかの食品から脂質を多く取る場合には、皮なしの鶏肉を選ぶことで食事全体の脂質量を調整しやすくなります。

また、鶏肉にはビタミンAも含まれており、今回の比較では若どりのもも肉は皮つきで100g当たり40μg、皮なしで16μgとなっています。

さらに、鶏むね肉にはカルノシンやアンセリンといったイミダゾールジペプチドが多く含まれています。

イミダゾールジペプチドは、カルノシンやアンセリンなどの成分の総称で、運動や疲労との関係について研究されています。肉類の中でも鶏むね肉はイミダゾールジペプチドを多く含むことが報告されています。一方で、豚肉や牛肉にも含まれており、肉の種類や部位によって含まれる種類や量には違いがあります。

さまざまな肉を取りながら、鶏むね肉を選択肢の一つとして活用するとよいでしょう。

鶏肉は、脂質量を調整しながらたんぱく質を取りたいときに使いやすく、特に鶏むね肉はイミダゾールジペプチドを含むことも特徴の一つといえるでしょう。

肉だけでは不足しやすい栄養素もある

牛肉・豚肉・鶏肉は、たんぱく質、鉄、亜鉛、ビタミンB群などを補給できる便利な食品です。

一方で、肉類だけでは不足しやすい栄養素もあります。

今回の表でも、炭水化物と食物繊維はほとんど含まれておらず、ビタミンCやカルシウムなども多くありません。

そのため、肉だけで食事を完結させるのではなく、主食や副菜、果物、乳製品、魚、大豆製品などを組み合わせることが大切です。

例えば、主食から糖質を、野菜や果物からビタミンCや食物繊維を、乳製品からカルシウムを、魚からビタミンDやn-3系脂肪酸を取るといったように、食品を組み合わせていきましょう。

トレーニング・身体づくりの目的別に選ぶ

「この目的ならこの肉だけ」と決める必要はありません。

牛肉・豚肉・鶏肉にはそれぞれ異なる栄養素が含まれているため、基本的には3種類をローテーションし、そのうえで自分の目的に合わせて取る頻度や部位を調整するのがおすすめです。

①脂質を抑えながらたんぱく質を取りたい

→鶏肉

鶏肉は部位や皮の有無によって脂質量を調整しやすく、たんぱく質を取りながら脂質を抑えたい場合に使いやすい食品です。

減量中や、ほかの食品から脂質を多く取る食事では、皮なしの鶏肉を選ぶことで脂質量を調整しやすくなります。

②女性アスリート・成長期・汗をたくさんかく、走る量が多い

→牛肉も意識して取り入れる

女性アスリートや成長期の人、汗をたくさんかく人は、鉄の必要量や不足にも注意したいところです。

牛肉は鉄を含む食品の一つであり、たんぱく質とともに鉄を取ることができます。

ただし、鉄だけを目的に牛肉に偏る必要はありません。レバー、魚介類、大豆製品、緑黄色野菜など、ほかの食品からも鉄を取ることができます。

③運動量が多く糖質の摂取量が多い

→豚肉を意識して取り入れる

運動量が多い人は、エネルギー源として糖質をしっかり取ることが重要です。

豚肉はビタミンB1を多く含むため、主食から糖質を多く取る食事に組み合わせやすい食品です。

例えば、ご飯と豚肉を組み合わせることで、糖質とたんぱく質、ビタミンB1を一緒に取ることができます。

④身体づくりでたんぱく質をしっかり取りたい

→3種類をローテーション

牛肉・豚肉・鶏肉はいずれも良質なたんぱく質を含むため、基本的にはローテーションで取り入れましょう。

そのうえで、鉄や亜鉛を意識したい日は牛肉、ビタミンB1を意識したい日は豚肉、脂質を抑えたい日は鶏肉というように、食事全体に合わせて選ぶとよいでしょう。

肉だけで必要な栄養素をすべて補うことは難しいため、主食、野菜、果物、魚、乳製品、大豆製品なども組み合わせ、食事全体で栄養バランスを整えましょう。

まとめ

牛肉・豚肉・鶏肉は、いずれも良質なたんぱく質を含む食品です。

一方で、脂質の量や、鉄、亜鉛、ビタミンB群などの栄養素には違いがあります。

肉を選ぶときは「どれが一番優れているか」ではなく、それぞれの特徴を知り、トレーニング量や食事内容に合わせて上手に取り入れることがポイントです。

3種類を組み合わせて食べることで、特定の肉に偏ることなく、さまざまな栄養素を補うことにつながります。

■著者プロフィール

・文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」

・(PDF) Nutritional Supplements for Endurance Athletes

・Homogenization in water improves the recovery rate of imidazole dipeptides in meat

■著者プロフィール

申泰鎮(シン・テジン)

管理栄養士・健康運動指導士。高校時代のボクシング経験をきっかけにスポーツ栄養士を志す。現在はボクシングジムや大学ラグビー部で、増量・減量・コンディショニングに対応した栄養サポートを実施。自身もフィットネスレース「HYROX」に挑戦しており、競技者としてトレーニングや栄養管理を実践している。競技者から一般層までを対象に、食事・サプリメント・体づくりに関する実践的な支援を行う。執筆や講演活動も多数。

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