連覇を懸けたオールジャパンでの敗戦から2カ月。10月11日、安井友梨選手は、グランドチャンピオンシップスのビキニフィットネスで7連覇を果たした。トレーニングも減量も、ビキニも変えて臨んだリベンジの舞台。「12年の競技人生で一番本気になれた」と語る日々と、敗れて初めて分かった周囲の支え、世界選手権への思いを聞いた。
[初出:月刊ボディビルディング2026年12月号]
【写真】「これが日本一のビキニフィットネス選手だ」安井友梨選手のスタイル良く引き締まった筋肉ビキニボディ

――グランドチャンピオンシップス7連覇。今年は特に、さまざまな思いがあると思います。今のお気持ちはいかがでしょうか。
安井 本当に、「リベンジ」でした。私がビキニを通じて、皆さんにあと何ができるかなと考えたんです。10連覇して、無敗の女王と言われていても負けることはあります。でも、負けても何度でも立ち上がることができる。負けたところからどうやって這い上がるかを、皆さんに見ていただく。それが私の役目なのかなと思っていました。
――8月のオールジャパンで連覇が途絶える衝撃の敗戦。そこから今日までの約2カ月間は、どのような日々でしたか。
安井 西村(裕子)さんに負けた日から、ものすごく本気になれました。この12年の競技人生の中で、一番本気になれた2カ月だったんです。「自分はここまで本気を出せるんだ」と気づかせていただきました。今日どんな結果が出ようとも、この2カ月の一日一日が、自分の財産になったと思っています。
――ステージ終了後、舞台裏で西村選手と話をしているシーンも見られました。西村選手には、どんな思いを抱いていますか。
安井 もう本当に感謝しています。今日お会いしたら、絶対に「ありがとう」とお伝えしたいと思っていました。西村さんが、コンディションや筋肉のセパレートなど、私に足りないところを教えてくださったんです。西村さんのコンディションを目指してやってきましたし、その存在が自分を強くしてくれたと思います。
ここまでやってこれたのも、オールジャパンで2位だったからだと思うんです。もしも、あのとき優勝していたら……。「あのときは2位でよかった」って、そう思って突き進んできたからこそ得ることができた。この2カ月で大きな進化を遂げられました。
――勝ち続けていたころとは、準備に向かう気持ちも変わりましたか。
安井 めちゃくちゃ変わりました。「こんなにモチベーションが上がるんだ」と思いましたね。勝っていると、どこか守りに入ってしまうところがあったんです。でも今回は、負けられない戦いの中で、攻めることができました。これも変えて、あれも変えて、全部変えてみようと。新たな自分がまた出てきました。
――どのように変えてきたのか、伺いたいです。
安井 トレーニングも変えたし、減量も調整もビキニも、全部です。何もかも、今までの私と違うところを見せるんだ、絶対に皆さんを驚かせるんだという気持ちでした。自分の限界まで挑戦して、ベストを尽くして、「これで駄目なら、駄目だろう」と思えるところまでやりました。悔いのない大会にしたいと思いながら、今日を迎えたんです。
その中で特に印象に残っているのが、今回の大会の1週間前に、同じゴールドジムでトレーニングをしている(元格闘家の)魔裟斗さんに声をかけていただいたことです。「負けたときこそ強くなれる」。一週間前に魔裟斗さんから頂いたこの言葉に、思わず涙が頬をつたいました。「負けたときこそ成長のチャンスで、挫折して、失敗して、傷ついて、転んでみて初めて、何を間違えたのかに気づける。うまくいった試合は、何が良かったのかを教えてくれない。全部が正しかったように見える。負けた大会だけが、どこが悪かったかを教えてくれたはず。立ち上がるための次の機会が用意されている。俺はそうやっていつもリベンジしてきたから。支えて応援してくださる皆様に心からの感謝を込めて頑張ればいい。前の大会のときと別人だから、大丈夫」そんなお声がけをくださりました。また、同じゴールドジムの店舗で毎日顔を合わせる皆様には、本当に毎日励ましていただき、感謝しかありません。
――オールジャパン後にも、「2024年に世界選手権で優勝したとき以上の方々がメッセージをくださった」と仰っていましたね。
安井 本当にたくさんの方に手を差し伸べていただいて、声をかけていただきました。こんなに応援していただいているんだと、負けて初めて気づいたんです。勝っているときには、そこまで感じられていませんでした。負けたら、皆さんから温かい言葉をたくさんいただいて。「頑張れ」「這い上がれ」という言葉に、こんなに多くの人に支えていただいているんだと感じました。
今日は、その方たちが背中にいるように感じながら舞台に上がらせていただきました。その方たちに、本当に感謝を伝えたいです。この大会があったからリベンジできましたし、その機会をいただいたことにも、ありがとうございますと伝えたいです。
――次は10月末の世界選手権ですね。意気込みをお願いします。
安井 絶対に今日優勝して、世界選手権の切符を取るんだという気持ちで挑んでいました。カレンダーにも「世界選手権」と書き込んで、自分を奮い立たせてきたんです。そこに向かって、もっと仕上げて、完成度を高めていきたいと思っています。
取材・文:月刊ボディビルディング編集部 撮影:中原義史










